プロフィール
安野仁
1965年2月17日生まれ。映画配給会社、野球雑誌の編集などを経て、プロスポーツ・マネジメント業界に入る。2004年7月にARS(アスリーツ・リプレゼンタティブ・サービス)を設立、代表に就任する。

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2006年9月 1日 (金)
最終回・スポーツは素晴らしい!

 すっかりご無沙汰してしまいました。ほぼ一ヵ月、ブログ更新をお休みしてしまいました。その間、僕がマネージメントを担当している東京ヤクルト・スワローズの木田優夫も出場したオールスターゲームが開催され、亀田興毅選手の世界タイトルマッチがあり、オシムジャパンが誕生し、そして先日は夏の甲子園が幕を閉じました。

Nanafushi いやはや、スポーツは素晴らしいですね。本当にこのビジネスをしていることの幸せを感じたこの頃でした。甲子園には仕事の都合上行くことは出来ませんでしたが、身にしみて思ったのがやはりスポーツは生で観戦するのが一番!ということです。カクテル光線に照らし出されたフィールドの美しさ、ライトを浴びたリングで闘う孤高のボクサー、緑の芝生の上を駆け抜けるブルーの戦士たち、そしてそれらを取り巻く観客たちの歓声、怒声そして溜息……。たまりません。映画も劇場のスクリーンで観るのとテレビで観るのでは大違いなように、やはりスポーツも現場第一! 皆様も是非会場に足を運んで下さい!

 と、いきなりで恐縮ですが、僕のブログは今回で最終回ということになりました。話があっちに飛びこっちに飛び、ハチャメチャ支離滅裂な展開ばかりでしたが、これまでお付き合いありがとうございました。書きたかったこと、伝えたかったこともまだまだありますが、仕事の都合上もあり、こまめに更新することが中々できない現状を踏まえ、一旦休止させて頂くことになりました。今度はMouRaのマンガサイト「MiChao!(ミチャオ!)」で新しく立ち上がるスポーツ漫画に携わることになりました。エージェントももちろん登場するマンガになる予定ですので、皆さんお楽しみにして下さい!

 最後に、まったくスポーツには関係ありませんが、先日千葉のとある公園で二十数年振りにナナフシ(ナナフシにも色々な種類がいるそうですが、僕には正式名称はわかりません)を捕まえました(写真)。虫好きな僕としては大満足です。今年の夏は千葉の雑木林でカブトムシ、ノコギリクワガタ、コクワガタ、北海道でオオクワガタなどたくさんの虫を捕まえましたが、久しぶりに出会ったナナフシには感動です。

 そんなわけで重ね重ね、最後までお付き合いありがとうございました。

2006年7月12日 (水)
ワールドカップより、MLBでお祭り騒ぎに

 10日、ワールドカップがついに終わってしまいました。世界の一流選手の技や素晴らしいチームプレイの数々に感動しました! まさに祭典でしたね。

 僕は9日まで米国に行っていたので(写真はコロラド州の山で見た虹です)、準決勝は米国でテレビ観戦したのですが、西海岸時間では午後零時にキックオフだったので、寝不足の心配は不要でした。日本で夜中にゴソゴソ起きだして眠い目をこすりながら観戦するのもおつなもんでしたが、昼飯食った後にコーヒー飲みながら観戦するワールドカップも素敵でした。ただでさえボケ頭なのにワールドカップによる睡眠不足で一日中ボワーッとしていた日本と違い、午後2時過ぎには普通に仕事に戻れるのですから。
United_states_1 しかし米国でのワールドカップの取り扱いは予想以上に低かったです。スポーツニュース番組でもゴールシーンと勝敗だけの取り上げ方ですし、MLBの試合結果よりも時間を割いていない感じでした。自国チームが早々と姿を消したことがその理由でしょうが、米国ナンバーワン主義が垣間見られます。
 こうしたことは今に始まったことではありませんが、ちょっとがっかりでした。

 さてサッカー・ワールドカップが終わり、今週はMLBオールスターゲームです! オールスターゲームが開催される都市は、まさにお祭り騒ぎとなります。
 僕が素晴らしいと思うのは、球場近くで必ず開催されている FAN FESTA というイベント。子供から大人まで老若男女を問わず楽しめる工夫がされているイベントです。ベースボールをしたことがない人でも、投げたり、打ったり、走ったりしながらベースボールというスポーツに親しめる場が設けてあり、オールスター出場選手はもちろんのこと、往年の名選手もこのイベントに数多く参加してファンと交流を楽しんでいます。
 カード・コレクター向けのサイン会なんかも多く開催されています。もちろんMLBのプロモーションやMLBスポンサーの宣伝の場としてイベントは開催されているのですが、ファンを楽しませることに関してはMLBの実力はたいしたもんだと言わざるを得ません。
 前にも書きましたが、僕もIMG時代にスタッフとして同種のイベントをMLBと協力し日本で開催したことがあります。結果は事業としては悲惨なものに終わりましたが、充実感があり楽しかったことは記憶に鮮明です。日本でもこうしたイベントをやればいいのになあ、と思うこともありますが、オールスターがその街にとってのお祭りにならないと成功は難しいのでしょうね。

 日本のオールスターは今月21日に神宮、22日に宮崎で開催されます。僕がマネージメント(一部です)を担当している東京ヤクルト・スワローズの木田優夫が16年振りの出場をすることになりました! チームのために中継ぎそして抑えと頑張ってきたことが評価され、とても嬉しく思います。みなさんも応援して下さいね!

2006年7月 6日 (木)
ワールドカップ! 誰が代理人?

 日頃の不摂生がたたり、悪い風邪にかかり2週間ブログを更新できませんでした。その間、スポーツ界で最大の盛り上がりを見せているのは、疑いの余地なくワールドカップ・サッカーです。そんなわけで、ベースボールの代理人の話を進めていこうと思っておりましたが、勝手ながらちょっと寄り道でサッカーの話にします。

 4年に一度の祭典、ワールドカップ。それに合わせて、代理人、マネージメントに関わる人たちもドンチャンお祭り騒ぎです。なぜなら、間違いなく選手の肖像権を売る最高のタイミングがこの時期だからです。しかも実勢価格よりも高く、場合によっては物凄く高く売れるからです。選手の肖像権を使用したい企業、ゲームソフトに肖像権を使用したいソフトメーカー、独占インタビューを行いたいメディア、などなど需要は4年間で一番高くなるのです。

Match_ball_replica_in_2006 ここで問題となるのは、選手の肖像権を使用したいと考えた時に、誰とコンタクトをすればいいのか、です。例えばAという選手の肖像権を使用したい場合、A選手の代理人とコンタクトをすれば間違いないじゃないか……そう思われる方が多いのではないでしょうか?
 しかしこれが大間違いなのです。日本においてはさほど困難を要せずに権利保有者に行き着くことが可能ですが、南米やラテン系の選手を相手にする時にはかなり注意を要します。
 なぜか? それはチームとの選手契約や移籍に関して代理人契約を締結している代理人が、肖像権を含むマネージメント契約までも交わしているとは限らないからです。その代理人たちはほとんどのケースでこう言います……「俺がマネージメントも担当している」。そのほとんどが嘘偽りのケースなのです。ブラジル人選手、セリエAでプレイしている選手たちに関しては、まずは疑ってかかったほうが身のためです。断言します!

 僕は前回のワールドカップ時に某ゲームソフト・メーカーからの依頼で、トッティ、チラベルト、エムボマ、バティストゥータ等と肖像権使用契約を結びましたが、いやはや大変を通り越し、悲惨な状況に追い込まれたこともありました。チラベルト、エムボマとの契約はすんなりいきましたが、恐るべしは残るふたり。操縦不能でした……。最後には何とかなりましたが。

 さて今回のワールドカップ。知り合いの大手広告代理店の担当者が言っておりました。
 「シェフチェンコの日本のマネージメントをしている、という人と名刺交換しました。それが4人もいるんですよ、みんなそれぞれ会社が違うんですけどね」

 誰が本物なのか。わかるはずがありませーん。

2006年6月 9日 (金)
ザ・エージェント

 「選手の気持ちを最もよく理解できるのは元選手である私だ」

Yasuno_l_1 そう公言しているのは、米スポーツ界で「吸血鬼」として恐れられているスコット・ボラスさん。ボラスさんはそう言うだけあって、もちろん元選手です。ボラスさんの名前が日本でも有名になったのは、2000年にアレックス・ロドリゲスとテキサス・レンジャーズとの間で締結した10年総額2億5200万ドル(1ドル113円換算でざっと285億円!)の巨額契約でした。ボラスさんが米スポーツ界でどれほど恐れられているか……。ボラスさんがNFLにエージェント申請を行ったことについてどう思うか、と問われたあるNFLの球団幹部はこう言ったそうです。

 「ボラスがエージェントとしてNFLに入ってくるなんて……。クリスマスにサンタが来ないって言われるよりもショッキングだ」

 僕の元上司であるケーシー・クロースも元選手です。3A時代にはランディー・ジョンソンからホームランを打ったこともある内野手でした。現役時代にケーシーはこう思ったそうです。

 「もっと自分ならうまく交渉ができるんじゃないか?自分は選手だし選手の気持ちは十二分にわかるはずだ。俺はこのままユニフォームを着ていてもせいぜいワン・カップ・オブ・コーヒー(メジャーに定着できずにマイナーとメジャーを行き来するような選手のこと:コーヒー1杯飲んだらマイナーに逆戻りの意)だし、代理人になって選手のために尽くしてみよう」

 今やケーシー・クロースはデレク・ジーター、デレック・リー等の大物選手を多数抱えるトップ5エージェントになっています。

 他に日本でも有名な代理人といえばアーン・テレムさん。松井秀喜選手や松井稼頭央選手、藪恵壹選手のために素晴らしい契約を次々と締結させています。テレムさんは元選手ではなく弁護士で、ベースボールだけでなくNBAの選手も多々クライアントとして抱えています。

 そんなわけで、次回からは僕が接してきた米国の代理人との思い出などを書いていきたいと思います。

2006年5月30日 (火)
「代理人」として

 さて僕は厳密に言えば「野球界」においては代理人として、日本はもとより米国MLBでも認められた存在ではありません。

Yasuno_l これまでにお話した通り、米国ではMLBPAの公認を受けねばならず、その公認を受けるためには資格等はほとんど必要ありませんが、メジャー40人枠の選手から「あなたを私の代理人にします」と任命される必要があります。僕はこれまでに、現東京ヤクルト・スワローズの木田優夫(読売巨人軍-オリックス・ブルーウェーブ-デトロイト・タイガース-L.A.ドジャーズ-シアトル・マリナース)、現在母国韓国でミュージシャンとして活躍(!?)している通称サムソン・リー(Lee Sang-hoon:韓国サムソン・ライオンズ-中日ドラゴンズ-ボストン・レッドソックス-オークランド・アスレティックス-サムソン・ライオンズ)から代理人に任命してもらったことがあります。MLBPAから「このジャパニーズはMLBの協約なんてわかりっこないだろ」と言われた時に備え、協約そして労使協定についてはビシッと勉強しておりました。自信満々です。しかし、結局僕の申請は受理されることなく、うやむやのまま宙に浮いてしまったのです。彼らの言い分は非常に簡単でした。その当時、僕は世界最大のマネージメント会社であるIMGでベースボールを担当しており東京を拠点としていました。僕のボスはニューヨーク在住のMLBトップ5代理人のケーシー・クロース。ケーシーは「吸血鬼」と渾名される代理人のスコット・ボラスさんと並び評される球界きっての「タフ・ネゴシエイター」でした。MLBPAはこう言いました。
 「ケーシーが実際全ての交渉をするんでしょ? 選手が英語が分からない? それならトシ(僕は英語でそう呼ばれています)がケーシーと選手の間に立って通訳してあげればいいだけじゃない。トシが球団と直接交渉することはないでしょう、どう考えたって……」

 これで宙ブラリン……。当時もし僕がMLBPA公認代理人になれていたら、日本球界においても代理人として認められる可能性があり、IMGにとってもメリットは大きかったと思うのですが、大して強硬な主張をすることもなく「そりゃそうだな」ってな感じであっさり引いてしまったのでした。これが1999年、2000年頃の話です。その頃は、米国パスポート保有者を最優先しているフシがありました、正直なところ。

 その後、日本人選手のみならず韓国、台湾からも海を渡る選手たちが増加したことを受け、今では米国パスポート保有者でなくともかなりの数の人たちが公認を受けられるようになりました。タイミングが悪かったのか、それとも人相か……。とにかく米国でも日本でも僕が直接球団と「代理人として」年俸契約交渉をすることはできません、くやしいけど。