プロフィール
山崎隆之
1981年2月14日生まれ。森信雄六段門下として6級で奨励会に入会した後、1998年4月1日、四段にてプロ棋士となる。渡辺明竜王とともに若手強豪として知られ、鋭い勝負勘と才気溢れる指しまわしで、多くのファンを魅了。

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2007年3月 2日 (金)
順位戦最終局を前にして

 2月は自分が産まれた月でもあるので好きなのですが、いつもなら3月頃から飛び始める花粉がもうすでに飛び始めていて、嫌な季節の到来ともいえます。
 僕はかなりひどい花粉症です。
 くしゃみが出るし、目もかゆくなるし、常に鼻が詰まっていて息をするのも苦しいぐらいです(><)
 2年ほど前から毎日甜茶(てんちゃ)を飲みだして、少しましになったような気がしますが、マスクとティッシュは必需品です(**;
 この時期の対局はかなりつらいです。
 頭がボーっとしてしまい、集中力も欠けてしまいがちです。
 だからといって、最近のぽっきり折れてしまうような対局の言い訳にはならないのですが……。

P1050045_1   花粉症以上に憂鬱なのは、大きな対局で負け続けていること、そして順位戦です。
 前局は昇級の目がないと思い、全力を尽くせなかった。
 実際は、わずかではあるがまだチャンスは前局では残されていたのですが、自分の中であきらめていた。
 順位戦は、順位が昇級に関係するので、来期のためにもその一勝がとても大切だと頭ではわかっていても、勝てば勝つほどぎりぎりで昇級できないことがすごく怖かった。 
 でもそのような気持ちではやはり負けてしまい、現実に昇級の目がなくなってみると、「後悔」と、万が一次局で競争相手が敗れて「あの時勝っていれば上がれたのに……」と考えてしまうかもしれない恐怖で毎日を過ごさなくてはならなくなった。

 自業自得という言葉はこんな時のためにある言葉なんだろうな……。

 まだ僕が奨励会の三段の頃も同じような後悔をした。
 三段リーグの最終戦の成績表を見て、勝ち負けの星を見間違え、勝っても昇級の目がないと勘違いし、あきらめて早々と負けてしまい、後で勝っていれば四段に上がりプロになれていたことを知り、それからしばらくはものすごい脱力感に襲われ、運命から少し見放された気分になった。
 あの時のそれほどの後悔は生かされず、同じことを繰り返してしまい、まったく15歳のころから成長していない。
 もしその対局で昇級を逃すことになったら、自分でなんとつまらない運命を選択してしまったのだろうと後悔の日々を送ることになるだろう。

 そんなこんなで最近は家に引きこもり、時代小説をひたすら読みあさっている……。
 ただもちろん、最終局は全力で指します!

2007年1月31日 (水)
決意

 あけましておめでとうございます。
 今年もどうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m

 年々時間が経つのが早くなっているような気がします。
 去年はよく風邪をひいたりで、体調を壊すことも多く、なんだかあっという間に過ぎてしまった感じです。

Sasizome 今年こそは健康でもっと結果を、という思いから、実家の広島に帰省して、元旦から片上五段や糸谷四段と将棋を指そうと思ったのですが、みんな忙しくて居なかったので、友達に指し初めの相手をしてもらいました。  
 でも今年の初対局は負けてしまった。
 どうやら知らず知らずのうちに浮かれていたようで、今年は気を引き締めるぞと思いなおしました。

 だが、先日初仕事を終えて久しぶりの友達との新年会、徹夜してまた風邪をひいてしまった。
 将棋を指すか食事以外は何もしないのはいつものことだけど、やらなきゃいけない事もやらず、この一週間寝てばかりいるのにいっこうに治りません。

 去年の悪夢を思い出す。
 西尾四段との対局だ。
 同じことを繰り返すのは嫌だ。

 11月始め、将棋が強くなりたいと思っていた。
 地方での仕事が続き体調を崩してしまっていたが、谷川九段、久保八段との対局は全力を出し切りたいから、絶対に治す!と、すべての気持ちが対局に向いていた。
 その結果持ち時間を使いきり、何より全力を出し切って勝ったので、上を目指す手ごたえを感じた。
 トップクラスの人に勝てて嬉しかった。
 しかし一度勝ったくらいで喜ぶのはその人たちより弱いからだということに、バカだから気づかなかった。
 それどころか浮かれてしまい、しんどいと思っていたのにもかかわらず、徹夜でわいわいやってしまった。
 次も何とかなるという気持ちもあったのだろうが、勝負は甘くなかった。
 また風邪をひき、西尾戦では唯一良いかな、と思う決断力がまったく出せなかった。
 9年目での初の棋聖戦のリーグ入りのチャンスを逃した。
 リーグをぬけて、トップクラスがそろう本戦で戦い、勝ち抜くことを夢に見て胸が躍っていただけに……、もちろんあの日の西尾四段は決断力もあったし、感想戦も読みが深く、強かったから、たとえ全力を出し切ったとしてもどうか分からなかったが、将棋を指す前の心構えの時点で負けている自分のバカさ加減が情けなく、嫌になった。

 新年初っ端からこんな話もどうかと思うが、ずーっとそれが思い出されるので、ここに書いてもう引きずらず決着をつけたい。

 でも書いてよかった(^^)
 全力で治す!
 これも勝負のうちだと思い出した。
 次の対局までに今の風邪も全力で治し、いい将棋が指したい。

2006年12月27日 (水)
クリスマスイブ

 クリスマスという気分ではなかったが、近くの食堂に昼ごはんを食べに向かったところ、近くのシンフォニーホールに音楽を聴きに行く仲の良さそうな熟年の夫婦や、しっかりと手をつないだ若いカップル達とすれ違い、今日はクリスマスイブなのだな、とさばの味噌煮と豚汁を食べながら納得。

Oushou 今日の予定はこのブログを書くことと男からの誘いのみ(;;)
 誘い文句は「暇やから……」(**)
 なんで今日という日に普段は自分からは誘わないのに俺を誘うかなぁ……。
 次の一手を解きながらソファーでゴロゴロしているだけだからいいけど……(^^;

 昨日は知り合いの方とはじめて京都まで歌舞伎を見に行った。
 すごく華やかでおもしろかった。
 俳優さんは写真で見る化粧前の顔とはまったく違う人物になるし、もっと難しいものだと思っていたが、わかりやすくて、人情味に溢れていて、女形の方もはじめはあまりきれいではないなぁ、なんて思っていても、演技を見ているうちにどんどん色っぽく美人に見えてくるし、歌舞伎の俳優さんはすごいと思った。 
 11歳の子もいたが、立ち振る舞いの美しさやその色っぽさは、どうやって身につけたのだろう……。
 歌舞伎の世界も実力と努力しだい。
 厳しい世界なんだろうな……。

Books 18代目・中村勘三郎さんは口上で言われていた「芸の世界は一生勉強でございます」と……。
 将棋もそうだと思う。

 う~ん(><)出かけるのは詰め将棋をあと5問解いてからにしよう。

2006年11月 9日 (木)
将棋小僧

 将棋が強くなりたいとまた最近思い始めた。

 だが、思えば思うほど自分の頭の回転が遅くなっていることと、行動のすべてを将棋が強くなるために動くことができていない意志と、思いの弱さを、「ある人」と比べて痛感してしまう。

Ooban_kaisetsu 9月末、王座戦の新聞解説の仕事を頼まれたので現地に行った。
 この仕事は記者の方に現在盤上のの形勢や状況を言い、大盤解説やインターネットでコメントしたりするのだが、最強をかけて戦う二人の姿を間近で見ることができるありがたい仕事であった。
 将棋はどちらかが良くなりそうでも、両者最強の頑張りで決め手を与えず、予想を裏切らない大熱戦になった。
 敗着は僕が良さそうな利かしだと思った手で、ほんのわずかな隙を突いて羽生善治王座が挑戦者の佐藤康光棋聖を退け、王座を15連覇という前人未到の記録を作っている。

 15連覇という大記録にも圧倒されるが、将棋を読んでいる量や正確さなどのレベルの高さに驚き、二人と比較してみると劣っているものが多すぎることも、あらためて気付かされた……。

Habusatou 打ち上げが終わり、部屋に着いた時は午前2時を回っていた。
 スーツのまま横になって思い出すと、「フゥー」というため息しか出てこない。
 そんな時、電話が鳴り、出てみると、大盤解説で来られていた、佐藤棋聖とは兄弟弟子の関係の先輩棋士からで、「今、佐藤さんの部屋で飲んでるけど君も来ないか?」とのこと。  
 勝負の終わった夜は眠れない。
 興奮からなのだろう、大体の棋士がそう言う。
 まして敗れてしまったのだ。
 世間話でもして気を紛らすのかなと……僕もよく対局が終わった後は、友達と遊びに行きたくなるので、そこらへんは変わらないのかなぁ、などと思いながらせっかくの誘いなので伺った。
 部屋に入ると「山崎君、今日の将棋はどこが悪かったですかね?」と……。
 えっ?!(**)
 はずかしながら雑談だと思っていたので、びっくりしてしまった。
 二人はずっと将棋の話をしておられたのである。
 予想外の問いと、敗着を良い手だと思っていた僕は何も答えられなかった(><)
 あれだけ勝ってあれだけ活躍しているのに、すごい向上心である……二人のやりとりを聞いている僕は一人引き離された気持ちになり、ガツーンとやられた感じがした。

 後半はたまらず奥さんの話などの質問をして、何とか失神KOされるのを逃れた(@@)
 恋愛等の話はなんとか引き離されずついていけた……(^^;
 独身は僕だけだったけど……(;;)
 午前5時も過ぎ外も明るくなってきた頃、眠くなって油断しているといつの間にかまた将棋の話に戻っていた。
 強い人の将棋への情熱はすごい。
 その情熱は小さい頃から揺らぐことはなかったのだろう。失礼な言い方かもしれないが、二人が将棋小僧に見えた。
 棋士の理想の姿の一つだと僕は思う。
 僕もずっと将棋小僧でいたい……。

2006年10月17日 (火)
順位戦と熊野古道

Taikyokujou 順位戦、渡辺明竜王との一戦は優勢となりながらも負けてしまった。
 有利な局面でどうやっていいかわからず、相手の勝負手に屈してしまった。
 力負けである。
 この日は、すべてが終わったような気がした。
 順位戦の昇級はこの2敗目で絶望的である。
 渡辺竜王は4連勝、このまま昇級するだろう。
 その落差もさることながら、有利な形勢になっても、強い人には最近勝てなくなっていることがたまらなかった。
 勝っている頃は誰とやっても、中終盤はいい勝負ができると思っていた時期もあったし、簡単には負けないと思っていた。
 それがコロコロ負ける。
 弱くなったと認めたくなかったけど、もうこれ以上自分をごまかしきれない。
 今の自分は弱い、そう思うと泣けてきたけど少し楽になった。
 今から強くなればいいや、強くなれる時間は少ないと思うけど、将棋にふれる時間が増えれば余計な雑念も消えるだろう。
 今はそんなふうに思っている。
 負けた直後は、この先どうやって生きていこうなどと、もんもんとしていたんですけどね……(^^;

Kumano そんな中、気分転換にと、友達と熊野古道に行ってきました。
 なぜか、って?
 最近は、憂鬱な気分のまま、パチンコや麻雀といったガヤガヤしたところや、街中でばかり遊ぶ、という現状に飽きていました。
 そんな時にある日、友達との間で、
 「世界遺産めぐりをしたい」
 ということが話題になりました。
 これに乗らない手は無い!
 何より、自然の中を気持ち良く歩きたかった。
 ついでに、運動不足解消も(^^;

 ツヅラト峠というところで、通常だと大阪から3時間ぐらいで行けるはず。
 しかし!
 僕らは朝、電車のホームには時間通りに行ったものの、新聞や本を読んでいて乗り過ごしたり、逆方向に行ったりでダメっぷりを発揮して、目的地まで倍以上の時間がかかってしまいました(^o^;

 駅からは歩いたのですが、登りの山道がこたえます(**)
 楽なコースを選んだはずなのですが……頭だけでなく体のいろんなところが「なまってるなー」と痛感しました(;;)

 途中、頂上付近で、頂上までどれくらいなのかがわからず、へたってしまいそうになりましたが、何とか山頂に到着。
 すると……そこには絶景が!!
 山を見下ろし、緑に囲まれ、遠くには海が見えて、有名な岩(たぶん夫婦岩)もあり、心地よい風に吹かれていると、体に力が湧いてきて大きな声を何度も出しました。

 ちょっと気になっていた運動不足ですが、下りは楽だったし、筋肉痛にもならなかったので、まだなんとか気をつければ体力は回復するはず……。
 当面の目標は、ちょっと出てきた下腹をひっこめることかな……。