「しんさん、押忍!」
「押忍!」
体育会系掛け声で入ってきたのは久保田武蔵。6月28日~7月2日、新宿シアタートップスで上演されるIOHという劇団の作品『やっとお別れ』(作・演出:林邦應/IOH)の稽古帰りに飲みに誘った。
この作品、僕も出演するのだが、僕と武蔵とは会社の上司部下の関係という役柄。もちろん僕が上司だ。ちょっとネタバレなんですが、台本を読んだとき「2人、ボクシングをする」とか「腕立てを続ける」とか書いてあって……。「なんじゃ、この無茶な台本は!」と思っていたのだが、武蔵を見て納得。ムキムキじゃぁ~ん!
それもそのはず、実は武蔵はアメリカの総合格闘技の大会「アメリカン・アマチュア・コンバット(AAC)2004」のチャンピオン……つまり、世界チャンピオンなんです。自宅にはベルトが4つもあるとのこと。そりゃ、たくましいはずだよ!
中学生の頃、強くもないのに不良たちの言う事を聞かない頑固な少年だった武蔵。ある日、「生意気だ」と暴走族に絡まれ、ボコボコにされる。しかしそんなことで武蔵の心は折れず、「なにくそ!」とボクシングを習い始める。トレーニングをつんだ武蔵は、見事リベンジを果たしたのだ。体ではなく、心が強いんだと思う。
芝居にもそういうところは現れている。
稽古初日、台詞が全部入っていたのは武蔵だけだった。稽古を進めていても動きを完璧に覚えているのは武蔵だけだ。芝居は決して上手じゃないけど、芝居に対する真摯な態度は誰にも負けていない。絶対、大物になるだろう。
そんな武蔵が一日だけ稽古を休んだ日があった。稽古場へ来る途中の電車で痴漢を捕まえたというのだ。白状しない犯人と4時間半、警察署で戦っていたらしい。曲がったことが大嫌いな、正義の味方・久保田武蔵。男の僕でも惚れてしまいそうだ。
そして、僕は見てしまった。今日の稽古場には鏡があったんだけど、着替えるときにさりげなく自分の体を映しながら着替えている武蔵の姿を……マッスル! マッスル!!
『やっとお別れ』でもストレートで嘘をつくことができず、頑固で熱い男を演じる武蔵をお楽しみに! あ、もちろんベビーフェイスの裏に隠れた彼の肉体もね!

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