プロフィール
渡辺慎一郎
1974年(昭和49年)2月10日生まれ。俳優。毎年全員オーディションで開催される舞台「ラフカット2003」への出演などを経て、映画、TVドラマ、商業演劇、小劇場など作品の規模を問わず、演技者として活動

2009年12月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
アーカイブ
最近のトラックバック
最近のコメント

« 2006年3月 | メイン | 2006年5月 »

2006年4月27日 (木)
100万円の借金を……石橋忠士くんご来店!

Watanabe_ 「お疲れ様でしたぁ~!」
 六本木のコパスティック・カフェでは、毎週火曜日の23時過ぎになると、この声が聞こえる。4/4~5/16の毎週火曜日、ここのレストランで「Simplebird」(作:梶原俊治/自由派DNA、演出:松井カズユキ)という芝居が上演されている。僕も出演者の一人。
 本番終了後、ビールを飲んでいる役者を捕まえて話を聞いてみた。

 石橋忠士。兵庫県出身で関西弁丸出しの彼は5年前に上京。ダンスパフォーマンスの「ジュゴン」というグループに所属する彼は、今回の芝居でも持ち味を生かしたハイテンションな演技で、狭い舞台上を飛び跳ねている。そんな石橋君の過去の話を掘り返していたら、面白い話が聞けたので紹介しよう。

Watanabe__1  高校を出て、右も左も分からないまま「芝居がしたい!」という一念で、地元兵庫のとある劇団に入団。しかし、その劇団が曲者だったのだ。
 劇団費用としてまず10万円を徴収される。更に「デカイ劇場でやろうじゃないか!」を合言葉に20万円徴収。その後もなんだかんだ理由をつけて、気付いた時には100万円以上も徴収されていた。しかし、待てど暮らせど大劇場での上演の話はない。「おかしいな?」と思っていた頃のお正月、なぜかお寺に連れて行かれたそうだ。そしてお寺の奥にある怪しげなエレベーターで地下へ連れて行かれ、キラキラと輝く部屋で読経される。最後に一言「どうして信仰しないのだ!」。
 実はこの劇団、宗教団体的なところがあり、収めたお金も代表の懐に渡っていた。そんな曲者劇団の代表は、そのお金で大きな家を建てていたのだ!! 一応、劇団として、震災で潰れたプールを買い取り、自分たちで工事をして、それなりの劇場を作ったりはしたが、100万円分還元される事はなかった。
 結局、大きな借金を抱えてしまった石橋君。その劇団を退団し、とある工場で死ぬ気で働く。実家だったということもあり、月1万円の生活を続け、3ヵ月で借金を返済。さらに働き続け貯金を作り、「今度こそはあんな思いはしないように!」と東京の大きな劇団の養成所に入り、芝居を一から学び直したのだ。

Watanabe__2 「あのときのことは記憶から消したいですよ! ま、今となってはいいネタになってますけどね」と笑いながら話してくれたが、結構トラウマになっている様子。そんなトラウマを振払うように、舞台上で大暴れする石橋君。あの経験は、彼のパワーの源なのかもしれない。

 何かを失った者は新しい何かを得る。
 今回の芝居のテーマだ。新しいパワーを身につけた石橋君を是非観に来て下さい。あ、ついでに僕のことも観に来て下さい。

2006年4月21日 (金)
聴覚にこだわる演出家:黒川竹春さんご来店

Photo_245 「しんにぃ、久しぶり!」
「あ、ハルさん! 稽古はどうですか?」
 本日の舞台裏居酒屋しんさんのお客さんは演出家の黒川竹春さん。4/25~30に中野momoにて上演される、自身が主宰するユニット『Attic theater』の「箱の中で散歩」(作:加東航/ククルカン、演出:黒川竹春)の稽古帰りに遊びに来てくれた。

 鴻上尚史さんやケラリーノ・サンドロビッチさん、松尾スズキさんなどの演出助手として活躍してきたハルさん。役者の僕からすると、「なぜ役者ではなく、演出家なのか?」がとても気になったので、根掘り葉掘り聞いてみた。
 そもそもは、映画好きの母親の影響。東映まんが祭りから始まり、ジャッキー・チェンに憧れてアクションスターを夢見、そのうち「自分で映画を作ってしまえばいいんだ!」というところにたどり着いたハルさん。そこからは映画監督を目指し、学生時代には、年間で1000本も映画を観ていたというからビックリだ。どうやったら年間1000本観られるのか聞いてみたら、「朝起きたらビデオを再生し、面白かったらそのまま学校を休んで映画を観る。学校から帰ってきたら2本映画を観る。そうすれば観れるよ。本好きな人が、空いた時間があれば本を読むのと一緒だよ」と話してくれた。しかし、それだけ映画を観てしまうと、普通の目で映画を観ることが出来なくなってきたそうだ。その頃演劇と出会い、その世界に引き込まれていったのだという。もともと、バミリ(役者の立ち位置に印をつける)をして、長回し(カットをせずに撮る撮影方法)という手法が好きだったため、違和感なく芝居の世界に入ることが出来たという。

Photo_246  そんなハルさんが演出で一番気を使っているところは「耳」。視覚に訴えるのは当たり前のことで、常に聴覚を意識して演出をしているとのこと。この「耳」には「演出家の耳」「役者の耳」「お客さんの耳」の3種類があり、それぞれを意識している。以前、視覚障害のお客さんが観に来てくれたことがあったそうだ。同行者が耳元で説明はしていたが、楽しんでくれたのだろうか? と心配していたところ、なんと次の公演にもそのお客さんが観に来てくれた。ハルさんが重視している「聴覚」に訴える事が出来たということなのだろう。「単に出演者の知り合いで観に来てくれただけかもしれないけどね」と照れながら言うハルさん。でも、この出来事を語るハルさんの表情には、自信が漂っている気がした。

 そんなハルさん、今回も「演出家の耳」を使って、役者の体調などを感じ取りながら稽古の日々を送っている。どんな形で聴覚に訴えてくれるのか楽しみだ。

 帰りがけに「しんにぃ、もう一杯だけいいかな?」と聞いてくるハルさんがとてもかわいらしかった。

2006年4月 6日 (木)
僕のアイドル・吉田羊(ヨウ)ちゃんご来店

Watanabe141s 「よ、しんちゃん」
 「あ~~! 羊ちゃん!! いらっしゃい!」
 今日の居酒屋しんさんのお客さんは吉田羊ちゃん。4/16~23まで、下北沢の劇場「劇」小劇場にて上演される、『皐月の天(サツキノソラ)』(作・演出:比佐廉/東京スウィカ)の稽古帰りに遊びに来てくれた。
 7年位前に『死へ』という作品で共演して以来、羊ちゃんは僕のアイドル。向こうは普通に友だちとして接してくれてるんだけど、こっちからしてみると完全にアイドルなんだよね。出会った時からそういうイメージで、飲みに誘うのもできないくらい! 容姿端麗、芝居が出来て、歌がうまくて、しっかり自分を持っている。今回こうやって一緒に飲んでいるのは完全に職権乱用です。幸せものです、僕。ちょっとほめすぎかも。

Watanabe142s しかし、そんな羊ちゃん、驚いたことに「自分を好きじゃない」らしい。だから、演技をするのに、今までの自分の人生を、自分自身をさらけ出さなければいけない「役者」という仕事がすごく怖いというのだ。彼女の中には「自分はこうありたい」という理想像があるのだが、役者という仕事をしていると、自分の周りに素敵な人がたくさんいすぎて、その理想像がどんどん高くなってしまい、なかなか自分がその理想に近づけない。「女優になってから素敵な人に出会いすぎた」という。
 でもね、僕は思うんだ。今の羊ちゃんは、今の自分の思う「理想の吉田羊」ではないのかもしれない。でも、あの出会ったときよりもとても素敵な羊ちゃんになっていると思うし、これからももっともっと魅力的な羊ちゃんになれるんじゃないかな? 理想が低い人はそこで終わってしまう。高い理想を追いかけるからこそ、どんどん輝けるんじゃないかな? 
 羊ちゃんと同じように、僕も役者になってからたくさんの素敵な人たちに出会ってきた。君はその“素敵な人”のうちの一人なんだから。

Watanabe143s_1 これからも、まだまだ素敵になっていく彼女を見ていきたいと思う。そして、彼女と、周りにいるたくさんの素晴らしい人たちを追いかけて、僕ももっと素敵な人間になっていきたいと思う。
 これぞ、役者の道。

 まずは、東京スウィカの『皐月の天』、観に行ってみようかな。