プロフィール
渡辺慎一郎
1974年(昭和49年)2月10日生まれ。俳優。毎年全員オーディションで開催される舞台「ラフカット2003」への出演などを経て、映画、TVドラマ、商業演劇、小劇場など作品の規模を問わず、演技者として活動

2009年12月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
アーカイブ
最近のトラックバック
最近のコメント

« 2006年2月 | メイン | 2006年4月 »

2006年3月30日 (木)
こだわる男 片山健くんご来店

 「あ、渡辺君、どもども」
 「あ、片山君、どもども」
 今回の居酒屋しんさんのお客さんは片山健くん。4/5~49まで、池袋の東京芸術劇場で上演される『僕は雨の中にいた』(作・演出:デビッド宮原/劇団前方公演墳)の稽古帰りに、とある「レクチャー」に来てくれた。

Watanabe131m なんのレクチャーかというと、彼はとにかく徹底的にこだわりを持つ人で、凝り始めるととことんやらないと気が済まない人。元々はバイト仲間なのだが、仕事をしていてもこだわるし、食事なんかもこだわっているので、30歳を過ぎて最近ちょっとお腹がぽっこりしてきた渡辺は、食生活の改善をしようと、いいダイエット食を教わった。
 ついでに、今のこだわりを聞いてみたところ、水、食べ物、筋トレ、幕末、調味料、日本酒、外食……ざっとあげただけでこれだけ出てきた。
 水はアルカリイオン水で、25万もする精水器使用。外出するときもペットボトルに入れて持ち歩く。幕末は坂本竜馬の命日に高知まで行く徹底ぶり。外食は基本的にはしないが、もしも外食するならうなぎか寿司。家で自分では作れないから。それから食べ物に関して、野菜は減(低)農薬、無農薬、有機野菜。どんなにお金がなくても、高くても、これだけは譲れないとのこと。
 余談だが、彼はすごい偏食で、小麦粉を食べない。うどんもそばもパンもダメ。その他、小麦粉を使った料理には興味がないのだが、餃子だけは別。
 「他の料理は他の素材で似たものが作れるが、あの餃子のモチモチ感だけは、小麦粉じゃないと作れないから」とのこと。一緒に食事や飲み屋に行くと大変なんです、彼。
 そんなこだわり男の片山君、芝居に関しては「別にこだわりないんだよね」だそうだ。

Watanabe132l でも僕は知ってるよ、君の舞台上でのこだわった芝居を。
 片山君、こだわりってね、「匂い」として出るじゃない? 台詞が乾燥して聞こえないウエットな感じ。生きた目線。役の人生にこだわっているから、細かいところまで、演技に血が通っているのがわかるんだ。自分の健康を大事にしているように、役の人生を大事に生きている。役の人生は、この僕たちが生きている世界には、ほんの数時間しか出てくることはない。だから、君のこだわりは、役(として演じる人物そのもの)に感謝されているんじゃないかな? 「具現化して、こっちの世界の人たちに紹介してくれてありがとう」って。台本に書かれた、この世界とは違ったパラレルな世界からね。
 君のこだわりはうまく言葉では言い表せないけれども、舞台上では表現されているんだ。それが見えるから、お客さんは面白いんだと思うしね。

 今回は彼お得意の幕末芝居ではなく、昭和の芝居。昭和サイキックミステリー。どんなこだわりを見せてくれるんでしょうね。
 さて、僕のほうは……ダイエット頑張ります。

2006年3月24日 (金)
今夜は一人酒

 3月28、29、31日に両国のシアターX(カイ)で上演される『隔室(かくしつ)』(作:ミシェル・アザマ/演出:新見真琴)の稽古を終え帰宅。
Watanabes  普段、一人酒をすることはあまりないのだが、ちょっと飲みたい気分だったので一杯。気持ちよくなってきて色々考えた。

 2月には『しにほへら』『プロモーターズ』と2週連続で出演し、3月はこの『隔室』、さらにこの先も何本か決まってて、今年は芝居尽くしの年になるなあ。
 順風満帆といっていいのかな。でも、なんだろう? なにか物足りない。この気持ちはなんなんだろう?
 全く仕事がないときの物足りなさと、今の忙しい中での物足りなさは違うのだろう。きっと、上を常に見ることができているということなんだろう(と自分に言い聞かせてみたりしている)。
 それと、この気持ちには、この時期にたくさんの作品を観ているというのも関係してきているのだろう。
 3月だけで、観に行く芝居が10本。どの作品も面白かった。というか、どういう作品が面白くて、どういう作品がつまらないのかが、段々分からなくなってきた。だって、どの作品にも作り手のこだわりってものがあって、そのこだわりが見えちゃうんだもん。それに対して「好き」「嫌い」はあるかもしれないけど、好き=おもしろい、嫌い=つまらない、ではないわけでしょ?
 実際、今回の『隔室』にしてみても、正直言うと最初に台本を渡されたときは「嫌い」だった。今回の芝居は約1時間、俳優が舞台の上で台本を読む、ドラマリーディングという形式を取っている。これは観るほうからしてみるとつらいと思うな。絶対に眠くなるもん。そもそもフランスの作品はゆったりした時間の使い方をし、あまりアップダウンがない作品が多いので(それがフランス流のよさでもあるのだけど)、観てたら90%くらい寝る。
 けど、これが1人の女優さんの力で「面白い」作品になっちゃうんだからね。共演している佐藤直子さん。ホントにいい女優さんだ。彼女の芝居は眠気を軽減させてくれる。かといって、眠くならないわけではない。それはね、しょうがないんだよ、フランスの台本だもの。
Watanabes_1  ただ、彼女の存在のおかげで、半歩下がった位置で取り組んでいた芝居に、精一杯取り組もうという気持ちになれた。
 芝居は本だけでも、演出だけでもできない。演じる人がいて初めて成り立つものだ。
 「彼がいると空気が変わる」。そんなことを思われる役者になっていきたいものだ。

 『隔室』、どんな作品に仕上がっているのか。観て確かめてください!

2006年3月14日 (火)
侍! 瀬戸純哉くんご来店

Watanabe101l 「あ、どもども~」
 「おぉ、瀬戸ちゃん、いらっしゃい!」
 今回の居酒屋しんさんのお客さんは瀬戸純哉くん。3月18~19日に新宿のシアターアプルで上演される、離風霊船(http://www.libresen.com)という劇団の『ゴジラ』(作・演出:大橋泰彦)の稽古帰りに寄ってくれた。

 彼との出逢いは6年ほど前。大河ドラマ『葵 徳川三代』のロケの時に一緒になった。約2週間の長期ロケの間、同じペンションで同じ釜の飯を食った仲だ。当時は、お互いに殺陣(たて)をやるために呼ばれていた。それからも、顔を合わせるのはいつも大河ドラマの現場。まさか、こんな関係になるとは思いもよらず……。

 瀬戸ちゃんは、役者として演技の幅を広げる意味で、オプションとして殺陣を学んだ。某タレント養成所で、林邦史朗(はやし・くにろう)先生に師事。そして、「特技」と言えるくらいまで力をつけた。しかし、本質はやはり芝居を、演技をやりたいと思っていた。そんな時に出会ったのが、離風霊船の『ゴジラ』という作品。2000年に入団した時、偶然にもこの『ゴジラ』を上演することになった。しかし、彼に与えられた役は、「アクションができるから」ということで、 “ウルトラマンの着ぐるみ”。最後まで顔を出すことのない役。芝居をしたくて劇団に入ったのに、またここでもアクションを……。

Watanabe102m ちなみに、離風霊船では、週に1度、勉強会が開かれる。
 そこでは毎回誰かが先生になって、何か演技の勉強になることをする。
 瀬戸先生(?)が選んだのは自分の特技である「殺陣」。ただの殺陣ではなく、目隠しをして、相手を気配だけで感じて、丸めた新聞紙で叩き合うというもの。まるで子供のチャンバラだ。しかもよく見ると『スター・ウォーズ』のパクリ(笑)。
 しかし、単純に馬鹿にはできない。この稽古が実は結構実践的なのだ。相手の気配を感じるということは、舞台上で共演者が何をしているか、何を考えているかを感じることができるかどうかにつながる。ま、そこまで考えていたのか、偶然の産物なのかは分からないが、彼は自分の特技を活かすことができたのだ。
 瀬戸ちゃんが劇団に入って約6年。今回再演される『ゴジラ』で、彼はアクションではなく演技力を求められる役を掴んだ。そして、今まで以上のプレッシャーも一緒に。

 俳優という仕事には、その人の持ち味として、スタイルだったり、顔だったり、個性だったりが求められる。それは持って生まれたものだけではない。自分で作り出すことができるものなんだ。彼の殺陣から、そんなことを再認識できた。

 俳優・瀬戸純哉。プレッシャーに負けず、殺陣以上に輝ける君の新たな持ち味を、ぜひ世の中に見せてやれ!

2006年3月 7日 (火)
熱い男 カゴシマジローご来店

Watanabe91s 「しんにい、ゴメン! おまたせ!」
 「お、ジロちゃん!」
 今日の居酒屋しんさんのお客さんはTRASHMASTERSというユニットのカゴシマジロー君。3月8~10日に北沢タウンホールで上演される『毎日がエブリデー』(作/演出:西田征史)の稽古帰りに寄ってくれた、というか……実は、今回の居酒屋しんさんは訳あってカゴシマジローの自宅よりお届けします。
 その「訳」というのは、ジロちゃんとは2月に、「しにほへら」で共演したばかりなのだが、そのたったひと月後、彼は同じ北沢タウンホールで芝居をやる。僕も2月に2本、3月に1本と立て続けの公演。現状、小劇場で芝居をやっても、よっぽどお客さんが入らない限り、出演料は正直あまり期待出できない。しかも稽古は毎日のようにあってバイトができない。つまり収入がないのだ。
 ということで、貧乏役者2人はスーパーへ行き、豆腐と柿ピーとするめをつまみに、「しにほへら」で共演したときにお客さんに差し入れしてもらった芋焼酎を呑む。なんて安上がりなんだ、俺たち。

Watanabe92s 今の日本では、演劇を始め、芸術に対するバックアップはとても少ない。そんな中、小劇場の役者たちは、寝る間を惜しんでバイトをして、食費を削って、いい作品を作るために走っているのだ。僕も含め、こういう役者たちの作る作品を、もっとたくさんの人に観てもらいたいと切に願う。
 なーんて、この国の芸術に対する体制について話をしていたはずなのに、いつの間にか熱い芝居の話になっていた。ま、結局は国とか金とかじゃなく、「いい物を作りたい」って想いで動いてるってことなんだ。そして、その情熱がとても強いのがこのカゴシマジローという男。ときにはお客さんとして観に来てくれた役者と戦い、泣いて帰らせるような男だ。そんなジローでも、「『自分は必要ない人間なんじゃないか』って思って、役者を辞めたくなる事もある」と話してくれた。彼のそんな弱い一面が、強気のジローを生むのだろう。

Watanabe93s 気がついたら夜も更けてきて、ミキティが滑り始める時間が近づいてきたのでおいとましようとしたとき、「街中を歩いている人たちに、『頑張ってね』ってエネルギーを与えてあげたい」と話してくれた。性格も顔も毛も濃いジロー、だけどこういう一面が好きだな。

 日本一の駄作王と自負するTRASHMASTERS(中津留章仁、ひわだこういち、吹上竜啓、カゴシマジロー、龍坐)はそんな熱い(暑苦しい!?)男たちのユニット。彼らの生み出す傑作に期待しよう

 また一緒に芝居やろうぜ!