プロフィール
渡辺慎一郎
1974年(昭和49年)2月10日生まれ。俳優。毎年全員オーディションで開催される舞台「ラフカット2003」への出演などを経て、映画、TVドラマ、商業演劇、小劇場など作品の規模を問わず、演技者として活動

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2006年2月24日 (金)
女優から作家へ 三浦有為子さんご来店!

Watanabe 「あ~しんちゃ~ん、久しぶり!」。
 「ああ、まいちゃん!」。
 本日の居酒屋しんさんのお客さんは、作家(脚本家)の三浦有為子さん。3月1日から5日までザムザ阿佐谷で上演される、彼女自身が作・演出を手がける『ナイストリップ』(http://www.majenta-majenta.jp/)の稽古帰りに寄ってくれた。出会った当時、彼女は「三浦麻衣子」という名前で女優をしていたから、僕の中では今も「まいちゃん」だ。

 そもそもは大学の映画サークルに所属していた彼女。卒業後、某演劇養成所を経て芸能事務所に所属し、女優としてこの世界に入った。僕との出会いはその頃。映画『サイレン』で話題沸騰中の映画監督の堤幸彦さんと僕で作ったユニット、「TSUTSUMI’S LINK」に参加してもらったのだ。それもかれこれ、もう5年も前だなあ(しみじみ)。
 「TSUTSUMI’S LINK」の2作目、『ISHIKARI』は彼女が堤監督と共同脚本した作品だった。その当時は作家兼役者ってスタンスだった。代表作としては、堤さんと北村龍平監督のバトルコラボで話題になった映画『2LDK』や2006年5月公開予定の映画『明日の記憶』などがある。

 「役者は好き。だけど役者の仕事では一つの役の書かれていること、与えられていることしかコントロール出来ない。もっと大きなものをコントロールしたい」。

Watanabel なるほど。女優から作家に転身するというのは、表現の幅の理由か。確かにそういう表現欲がエネルギーになって、活動分野を広げる人は多い。彼女も例外ではなく、そして成功しつつある。しかし、役者の気持ちがわかるだけに、困ることはないのか? そして、役者に甘くなってしまわないか?

 「若い役者さんを対象にオーディションを開いたの。その時、かつての自分に似た子がいた。すごく合格させてあげたかったけど、不合格にした。10~20代の頃の自分を切り捨てた気がした。辛かったけど、今の私から見て“一生懸命だけじゃダメ”なんだよね」。

Watanabe2m すべての若手俳優に、この2つの言葉をかみしめてほしいと思った。もちろん、演劇関係者だけでなく、“選ばれる立場”の人すべてに。
 どうしてなかなかオーディションに受からないのか?
 「一生懸命だけじゃダメ」。
 これが真理なのだろう。
 いつしか彼女は役者ではなく、完全に作家、演出家になっていた。

<写真>
最後の写真は今回の公演のために作った封筒。こういう、女性らしいおしゃれなところが素敵。舞台としては2本目となる、彼女の作・演出作品。痛いほど女性の心理を描写した、彼女ならではの作風だ。

2006年2月10日 (金)
言葉による表現 林部レオナちゃんご来店

S_46  「ちんち~ん! 聞いて聞いて!」。
 「ちょっと待て~い! みんなが見ている前で“ちんちん”言うな、女の子が!」。

 こう、僕のことを「ちんちん」呼ばわりするのはこの世で一人、林部レオナという女優だけだ。
 「しんちゃん」→「ちんちん」に変移したわけだが、よりによって「ちんちん」って……。
2月9日~19日まで池袋と東京芸術劇場で上演される『WEL-COME to パラダイス』(作・演出:吉村ゆう)の稽古帰りに遊びに来てくれたのだが、第一声が「すっごい稽古楽しいのぉ~」だった。とてもいい顔をしている。ほうほう、そんなに言うならば、早速、稽古の話を聞かせてもらおうか? 
 「ネタバレになっちゃうから言えないの。ごめんね」。
 なんじゃそりゃ! 何を話したくて来たんじゃ!(笑)

Sre_1   元々はドラマーとして大成したいと思い、東京に出てきたレオナだが、ある時、精神的に辛い事が重なり、喋れなくなってしまったことがあった。
 その時に、「言葉は人間にだけ与えられた表現方法。すごく特別なもの。その言葉を使った表現者になり、仕事にしたい!」と思い、女優の道を選んだ。

 『台詞とは、感情を表すためのきっかけであって、言葉に捕らえられてはいけない』。

 芝居の世界ではよく聞く言葉だ。だけど、役者は言葉で感情を表現する仕事なんだよ。レオナに思い出させてもらった。

 ゆくゆくは映像の仕事をして、女優として食べていきたい。だけど、映像の仕事は、たとえエキストラの仕事でも緊張してしまう。自分に土台がないから。その点、舞台は稽古を積んで本番を迎えることができるから、緊張することなく楽しんでできる。
 コツコツ型のレオナらしい考えだ。「今のうちに舞台で経験を積んで、土台を作って映像の仕事もやっていきたい」という彼女には、はっきりと自分の未来の姿が見えているようだった。

S_47  今回、彼女は出番が多くない。その分、稽古を見て勉強している。
 共演者の岡田達也さんはキャラメルボックスという有名な劇団の看板俳優。ただ、キャラメルボックスを見たことがないレオナは岡田さんのことを知らなかった(岡田さん&ファンのみなさん、ごめんなさい)。
 しかし、稽古を見ていくうちに、彼が看板俳優であるのが納得できた。彼の魅力は稽古の段階からはっきりと見えたという。
 「岡田さんと首藤健祐さんと平野勲人さん、この三人は大のお酒好き。焼酎をロックで。岡田さんは酔うといつもの笑顔が更に可愛くなり、首藤さんは目線と笑い方が怪しくなり、平野さんは語り続けてくれる。競演してても、いつか3人のコントが観たくなってしまいぐらいおもしろいやりとりしてるんだ。そんな彼らが、今回どんな絡みを見せるか期待しててよ!」とのこと。

 彼女の言葉を信じて、観に行ってみようかな。彼女の「言葉」を。

林部レオナ

http://www.reona-style.com/

2006年2月 1日 (水)
不思議少年・蔀守(しとみまもる)くんご来店。

S_23  「やぁ、しんにい」。
 「蔀(しとみ)くん! いらっしゃい!」。
 いつも通りの、ほわっとした雰囲気でお店に入ってきたのは蔀守くん。
 2月2日~5日までアゴラ劇場(駒場東大前)で上演される『ヒッキー・カンクーンエンゲキリョウホウ』(作・演出 岩井秀人)の稽古帰りに遊びに来てくれた。

 彼は独特の空気感を持った人。
 今回「稽古場でなにか面白いことある?」と聞いたところ、「プロレスの芝居なんだけど、みんなで真剣にビデオ見てたら、3人だけぽかーんと口が開いてたのぉ~。ふふふ」とニヤニヤしていた。しかも、口が開いていた人の名前まで、台本にちゃんとメモしていた(笑)。こういうちょっとした視点の「ズレ」が、不思議なオーラになっている。

2s  蔀くんは、かつて熱帯魚や爬虫類のお店で働いていた。「熱帯魚が好きで、すごい暗いの。ふふふ」と笑いながら自分のことを説明してくれた。
 しかし彼が本当に好きなのは熱帯魚じゃなく「水草」。毎日朝から深夜まで水草を育てる仕事をしていて、2000年問題で世間が大騒ぎしている頃、水草と語りながらいつの間にか年を越していた。あまりに好きで集中しすぎるので、役者を目指すには邪魔になってしまうので泣く泣く仕事を辞めたという。でも、今でもペットショップでバイトをしながら、役者をやっている。彼のかばんの中にはいつも動物用のクッキーが入っている。自分で食べるための(笑)。

 そんな蔀くんが役者になるために東京に出てきたのは2003年。子供の頃から「テレビに出てる人」がうらやましくて役者を目指したという。しかしここで、また不思議なことを言い出した。
3s  「昔から目立つのは苦手だし、写真も嫌いで、小学校から高校くらいまでは全然写真がない。だけど『あの人、蔀守じゃない?』って指を指される生活にも憧れていた。今考えてみたらすごい矛盾してるね。ふふふ」。
 僕が思うにどっちも本当の蔀くんで、2人の蔀守がいることが彼の魅力になってるんじゃないかな?

 「もっと自分の個性を発掘して把握して、演技の上でコントロールしなくちゃ。それができなかったら負け」と力強く話してくれた。
 今回の『ヒッキー・カンクーンエンゲキリョウホウ』は、言うなれば引きこもりの話。水草育ての引きこもり生活から役者さんと呼ばれるようになった彼が、この作品を演じることは、すごく意味のあることのような気がする。楽しみだ。