今回は、久しぶりに登場する、近所の「にゃんごろー」一家のお話。
にゃんごろー一家が生活をしている川べりに1匹の白黒の子猫が登場した。
「おや、新入りかな?」
ぴょこりんと寝転び日向ぼっこしている愛らしいこの子猫。いつものように私は勝手に名付けた。「たま」。玉のようにまん丸な頭をしていたからだ!
ある日、たまが川べりに佇んでいると1匹の悪そうな黒猫がヌッと現れた(もちろん、宅急便ではない!)。
この大人の黒猫の名前は「ギャン」としよう(なんとなく怖そうで悪そうな名前だから)。
ギャンは不敵な笑いを浮かべ(ているかどうかはわからないが)、たまににじりよる。
川べりの幅は40cm。そこから下の川までの高さは5m。落ちれば命はない。
「ブニャン……(覚悟しやがれ、おチビちゃん)」
「ニャゴン~!!!!!(や、やめて~!!!!!)」
その声とともに、たまの後足が川べりから落下。
たまは落ちる寸前で、どうにか前足の爪が川べりに引っかかる。九死に一生。間一髪。
ギャンは、今にも落ちそうなたまをジッと見つめていた。自然に落ちるのを待っているかのように……。しかしギャンは不思議なことに突き落とす様子を見せない。もてあそんでいるのか……。どうにか、自力で川べりによじ登ったたまは、川べりを必死で逃げる。その後ろをギャンが追いかける。
必死で逃げたたまは、その様子に気づいた母猫の後ろに隠れた。
母猫はわが子を自分の背後に隠した後、牙をむきギャンをにらみ続ける。こんな細い川べりで戦いになれば、両者とも川に転落して命がないだろう。ギャンは4mほどの距離をおいたまま近づくことができず、10分ほどしてその場を立ち去った。
母の勝ち気な雰囲気がギャンを追い払ったのかもしれない。子を思う母の気持ちは人間でも、動物でも同じなのだ。
しかし、毎日のように川べりで日向ぼっこしていたたまは、その騒動の後、まったく姿を見せることはなかった。
消されたのか……それともどこかで元気にやっているのだろうか。
世の中には掟がある。
もちろん、猫の渡世にも掟はあるはずだ。縄張りを侵してしまったのか、別の理由か……この2匹の間にどういうトラブルがあったのかはわからない。マフィア映画のように抹殺されて命を奪われるほどの……。いずれにせよ、追うもの、追われるものの緊張感がそこにはあった。
掟とは、実は恐ろしい化け物なのかもしれない。




