昨日、バス停でバスを待っていたら……
電車が来た。
ってことはない。
バスが来るからバス停なのだ。
ま、構造的に、バスも電車もどっちもやってくるプラットホームというのも広い日本のどこかにはいくつもあるのだとは思うが、とりあえず俺が立っていたのはごくごく普通の、道路に面した、バス停留所だった。
俺のほかにはおじいさんがひとり立っていた。
そこへひとりの女がやって来た。
年の頃は20代後半。派手目と地味目の中間のような。そう言うと普通の感じということになるが、決して普通という感じではない。派手目であり、地味目なのだ。
その女はバス停の一番前に出た。おじいさん、俺という順番で立っていた、そのおじいさんの前に出た。
バスが来ているかどうか道路を見るのかなと思ったその瞬間、女は手を挙げてタクシーを停めて、そしてスッと乗り込んで視界から消えた。
ああ、またか、と思う。
急いでいるのにバスが来ないからタクシーに乗ることはある。
だが、バス停でバスを待っている人たちがいる、その前でタクシーに乗り込むことが俺なんかはできない。できない人は多いと思う。
いや。別にできるからどうだできないからどうだというのではないし、むしろバス停でタクシーに乗れるほうがどうせ乗るのなら正直かもしれない。
でも、たとえばその時俺が立っていたバス停の行き先は一直線で到達する駅前。ならば俺はともかくおじいさんだけでも乗せていってあげればいいのになんて思ってしまう。実際には無理だとしても。
ま、いいですけど。
とにかくなにが言いたいかというと、バス停でタクシーを平気な顔で停めて悠然と走り去っていくのはたいてい派手目で地味目の女なのだ。
●男の墓場プロダクション第一回作品●
『任侠秘録人間狩り』
『怪奇!!幽霊スナック殴り込み!』
監督:杉作J太郎 製作:男の墓場プロダクション
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期間:4月22日(土)~5月5日(金)
場所:シネマアートン下北沢
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