プロフィール
杉作J太郎
別称・L..L .COOL J太郎。1961年、愛媛県松山市生まれ。本名・杉恭介。漫画家、俳優、コメンテーター、映画監督。男の墓場プロダクション代表。
1982年に漫画家としてデビューして以降、多方面で活躍中。著書多数。

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2006年3月30日 (木)
第8回 勝負下着

Photo_229  勝負下着。

 男をその気にさせる下着ってことなんでしようけどねー。どうなんだろ。男をその気にさせようっていう時点で俺なんかはその気にならないですけどね。

 野球で言うなら内角にズバッと投げ込んでくるビーンボール気味の球っていう感じがします。

 「ほら、どうだ!」 っていう凄味は伝わりますけどね。

 「私は逃げてないよ!」

 気持ちはありがたいですけどね。

 その“やる気”が怖くて腰が引けてしまう男は多いと思う。

 フツーが一番であります!

 ま、もちろん、つきあい始めて関係が濃密になってくればいろいろあっていいと思いますけどね。

 いや。

 むしろ、いろいろあってほしい。

「すごいパンティだねー」

「そうよ。すごいでしょ」

 かわいいよね。

 でも最初はフツーがいい。

 やる気があるんだかないんだかわからない。

 「そんなつもりじゃなかったのに……」

 染まった頬は飲んだカクテルのせいなのか、それとも恥じらいからなのか。普段着そのままのようなパンティがいとおしい。

 ……。

 俺の文章がいとおしくない感じですけど。

 でも、ま、百歩、二百歩、三百歩譲れば、自分自身の気持ちをアップさせるために身につける下着ならばそれはそれで責めるわけにはいかないだろう。

 アントニオ猪木の真っ赤な闘魂タオルみたいなもんであります。

 そーゆー意味でまったく話は関係なくなるけど猪木殺戮同盟、はぐれ国際軍団で大暴れした寺西勇の白いパンツはどうだった?

 ヘソ上まである微妙な大きさも問題だったと思う。

2006年3月23日 (木)
第7回 「トイレとかは大丈夫ですか?」

 あまり気が回りすぎるのもどうか?
 男も女も、だ。

「トイレとかは大丈夫ですか?」
  俺なんかは根が心配性にできているので、油断してると喫茶店とか飲み屋とかですぐ聞いてしまう。
  ま、逆だったらイヤなんだろなあ、たぶん。

「杉作さん、トイレ行かなくて大丈夫ですか?」
「いえ。まだ大丈夫です」

 余計なお世話なんだよなー。
 つうか、なんといってもこの会話には色気がない!

 むかし。20年近く前。俺が週刊誌の編集者をしていた頃。荒木経惟さんのグラビアの撮影で南伊豆に行った帰りのことだ。
  荒木さんは自動車が苦手なのでロケバスはノンストップで伊豆半島を走行していた。

 車中には女性のモデルさんがふたり乗っていた。俺はそこで気になり始めたのだ。彼女たちはトイレに行きたいのではないか、と。
 でも荒木さんを早く自動車から解放すべく爆走する状況下、トイレに行きたいから停めて、とは言えないのではないか。
 俺はロケバスの運転手さんに言った。

1_2 「トイレに行きたいので次のドライブインで停めて貰えますか」
  車はバイパス沿いのドライブインで停まった。
「みなさんも行きたい人が居たら行きましょうよ」

 だが誰もトイレに行かなかった。
 誰も行きたくはなかったのだ。
  あれれ、と思いながらいまさら自分が行かないわけにもいかず、ロケバスを降りようとしている俺に荒木さんが笑顔で言った。

「早くしろよ」

 それは、なにもかもわかったうえでの言葉に聞こえた……。

  色気はないけど、書いてみたら予定外ですが、いい話になりましたねー。

2006年3月16日 (木)
第6回 湯けむり人情

 何年か前にドラマのロケで九州に行ったときのことだ。
 
 俺は画期的(!?)な脇役だった。
 露天風呂で酔っぱらってる観光客の役だった。
 セリフもひとつかふたつあったが、
「気持ちいい~!」
みたいな、勢い一発のセリフだった。
 だが、そんな役のために、なぜ俺がわざわざ九州まで行ったかというと、その失礼な観光客は主演女優さんのグループにからんだあと、風呂に突き落とされるのだった。
004  露天風呂から顔を出して、
「プッハーッ!」
 それがもうひとつのセリフだったような気がする。
 
 ほかの出演者のみなさんはちゃんとした役者さんたちだった。
 撮影の前夜から俺は九州に乗り込んだのだが、当然、知り合いもいないし、話す相手もいない。映画やテレビで子供の頃から見ている役者さんもいたが、だからといって仲良く話せるものではない。なんせこちらのセリフは、
「プッハーッ!」
 一発なのだ。

 九州入りした深夜。ひとりで露天風呂に入ってたら雪になった。
 舞い落ちてはすぐに湯に溶ける雪を見ている、とモーレツにしんみりした。
  
 撮影本番。俺は露天風呂に突き落とされた。
 旅先の撮影はあわただしい。
 露天風呂に落ちた俺を置いて、撮影隊はすでに次のシーン現場に移動を開始していた。俺に話しかけるひとはひとりもいなかった。
 そのとき。
「向こう側のほうがお湯が温かいですよ」
 声に振り向くと、主演の女優さんの笑顔があった。
 短く、それだけ言うと彼女も次のシーン現場へ向かった。
 
 その後、彼女にスキャンダルめいた報道があったりしたが、俺は知っている。
 彼女はいいひとだ。

2006年3月 9日 (木)
第5回 斜め前の彼女

 高校生の頃、好きだった女の子がいた。

 結局、卒業するまでまともに会話もできなかった。

 いまも昔も俺は硬派なのだ。

 

 で、その好きだった女の子のことをたまに思いだしてみたりもするわけだが、一度だけ、彼女が俺に話しかけてくれたことがあった。

 彼女は俺の斜め前の席に座っていた。授業中、当然の如く、俺は授業をまともに聞いてはいない。

 近くの席のボンクラ仲間と昨日見たテレビ番組の話をしたり、「あの女優のここがエロい!」みたいな話をしている。

 いまも月に2回ぐらい、そーゆーコメントを週刊誌から求められて話したりしているので変化ないことおびただしい。

 で、その日。後ろを向いてた俺を先生が指名した。

 なんの授業だったか覚えてはないが、たぶん英文を読め、とか、そーゆー類の指名だった。

 俺はいま、どーゆー内容の授業が展開されているか知らないわけだから口にする言葉がない。先生にしても、それを承知した上で、「お前は聞いてなかったな!」と怒るつもりで指名しているのだ。

007  そのとき。

 彼女が小さな声で、教えてくれた。

 そこから読むのよ。

 ここから読むのよ。

 彼女が教えてくれた。

 幸せだった。

 その後も、彼女とはなんにもなかった。

 想い出の中で彼女は俺の斜め前に座っていて、いまも美しいままだ。

2006年3月 3日 (金)
第4回 深夜の牛丼屋

 深夜の牛丼屋に女性の姿を見る機会も多くなった。

006  ま、俺は以前からずーっと言い続けていることなんだが、牛丼屋とか立ち食いそば屋とか定食屋とかの、いわゆる男がメシを詰め込むいわば、男のガソリンスタンドのよーな場所にカップルで来てイチャイチャしてる男女を見るとモーレツに腹が立つ。

 腹が立ちすぎてその後半日は気分が悪くなる。

 女性に来るな、と言っているのではない。

 イチャイチャすることに腹が立つ。

 「アラ、おいしいわ」「そうだろ。案外いけるんだ」

 余計なお世話である。

 「そんなにおいしくはないだろ!」

 そう思いながらこちらはメシをかき込むことになる。だから不味くなる。

 俺がオーナーだったら、たとえ売上げが落ちようとも、アベックの入店はお断りにしたい。

 が、時代だ。

 男の墓場プロがある西新宿界隈でよく目にするのだが、最近は女性がひとりで食べてたり、女性どうしの2人連れで食べてたりする。

 会社帰りだろうか。深夜帰宅の途中にスーツ姿で資料に目を通したりしながら豚丼を食べてる女性は魅力的だ。美人度が3割増しになる。

 女性の2人連れなんかだと、食べ終わったあと、お茶を飲みながら、「だよね~」なんて頷きあってずーっと喋ってたりするが、この姿には萌えるものもある。カワイイ度が3割増しになる。

 俺がオーナーだったらそういう女性たちは2割引ぐらい、してもいい。