痩せゆく暮らしを謳歌……!?
体重が97キロになった僕は絶好調だった。
自分が痩せたという奇跡に対する喜び!
その結果は自信にもつながり、仕事の面でも今まで以上に声が出る。
体重が減ったせいなのか? 原チャリの燃費がよくなり、間食の費用もいらないので経済面でも大助かり。いい事尽くしで、気づけば毎日がスキップするような気分。
特に変わった事はしなくていい! このまま続けていけば痩せていくんだ。今までサイズがないって事で入らなかった店にも通えるんだ。このまま規則正しく、自分のルールで生活するだけで……。
でもね。僕の仕事って不規則で、自分のワガママを通せるようなものでもないんです。
今週は特に、とても断れない仕事上のお付き合いが盛りだくさんだったんです。
夜は食べないと誓っても、深夜0時過ぎにスタッフさんに食事誘われたら行かないわけにはそりゃいかんでしょう。
今日の仕事が無事に終わった事を皆で喜ぶ! これはチームで動く限り、とても大切な事だと思いませんか? それなのに「ダイエットしてるんでお先に失礼します!」なんて、テレビで放送禁止用語使うより言えませんよ。そして一旦食事に出かけたら、僕にかかる、“関さん食べるんだろうな~”のプレッシャーは凄いんだから。
もちろん僕は「行きましょ! 致死量食べましょ!」なんて言ってしまうんです。ダイエットしたい僕と、その場の空気を壊したくないデブキャラの僕がいるんです。ダイエットしたい僕なんて、最近出てきたばかりの新米キャラですから、先輩であるデブキャラの僕には逆らえないんです。
遅い時間だから、さっぱりした和食なんて店はありません。この時間は居酒屋でご飯になるわけなんですが、そうなるとお酒もからんでくるんだよ。それにしても、この業界の人はなんであんなにも飲むんでしょうか?
ここは天国か、はたまた地獄か!
最初の注文でとりあえずビールになるんです。「とりあえずビール」って商品出したらいいのに。
最近知ったんだけども、ビールを飲むと胃が刺激されて、飲んでない状態よりも飯が食えるんだって。
烏龍茶を頼めばいいんだろうけど、昔いじめられた経験がある僕はひとりだけ仲間外れってのが大嫌い。コーラなら、まだまわりも納得なんだろうけど、“デブが烏龍茶かい?”って空気は、過去に感じた事があるのさ。
皆の頭の中には“デブ=食べる”ってのがどうしてもあるみたい。もちろん、8割9割は合ってんのよ! 食べるからデブになるわけだし。でもデブだって常に食べたいわけじゃない! お腹がいっぱいになれば食べたくないし、中には僕みたいにこっそりダイエットしたい奴もいるの。でも、デブなんだから食べるんでしょって空気を感じる事はほんとに多い。お笑い芸人ってのは悲しい生き物で、この空気ってのを大事にしちゃうから、僕も無意識の内に応えてしまうんだなぁ……。
みんなと一緒に、僕もビールを飲む。
おいしさを喉で感じながらも、「これ何カロリーなんだろうか?」と考えてしまう。
そして次々に運ばれてくる焼き鳥、から揚げ、ポテト、焼きそば。ほとんど茶色の脂っこい物ばかり。ちょっと前ならこんなメニュー大好きだったんだよ。「脂っ恋」って書いてたもの! でも、体重減ってきた今は我慢しなきゃいけないでしょうよ!
場の空気を見ながら、ばれないように揚げ物を食べないようにしていた。
ところが言われるわけですよ、「関ちゃん食べなよ」って。そして言われれば、食べちゃうわけですよ。ちなみに僕が食べてないのって、なぜだかすぐにばれるんだよね。食べっぷりが気持ちいいからなのか? デブだからなのか? 見逃してくれないんです。これも確実に言われるのが「ラスト1個食べな」。ホントにありがたいんですよ。
しかもね、お酒を飲んで酔いがまわりだすと、ダイエットの事を忘れちゃって、食べちゃうんだよね。そんな大した事してないのに、自分へのご褒美だ、なんつって。いったい今まで自分にどれだけご褒美あげたことか……。
言い訳がましく聞こえるのは重々承知していますよ。でもね、酔ったうえにもともと好きなもんが並んでるんだよ! 恋人がいたら抱きしめるのが自然でしょうが!! そりゃぁ食べますって。
102キロ! ガーン!!
そんな日は帰ってきたら当然明け方ですから、ウォーキングなんてしませんよ。
たらふく食って、そのまま寝ちゃうんです。
そしてそんな事が今週だけで……3回!!
大人ですし仕事してますから、お酒の席、多いんですよ。
しかも、久しぶりのお酒と食事がおいしかった事がいい思い出になってしまって、つい2回目へ……と、繰り返しちゃうんです。
3回目なんてあきらめも入って、今週は食べる週だ。きっと来週頑張れば元に戻るさ、なんてことを思っちゃうんです。
大甘ですよ……。
前世はシロップですよ……。
過去何回こんな事をしたか……。
もう人里離れた寺で絶食するしかないんかな……。
そんな僕の体重は……。
102キロ! ガーン!!
短い春でした。あっという間に戻りやがる。相撲部屋の新弟子たちよ、無理にちゃんこなんて食べずに僕の食生活を真似なさい、あっという間に大きくなれるから!
久しぶりにみせた頑張りが、あっという間に吹き飛んでしまい、もう一体どうしたらいいのやら……。
もう一回頑張ればいいんだろうけど、また同じ事をしてしまいそうだ。
ゴールのないマラソンのようだ。
給水所に居座ってしまいそう。

