プロフィール
水野晴郎
映画批評家、監督、脚本家、作家、作詞家、演技者、大学教授。1931年生まれ。39歳の時日本テレビの映画番組の解説者を務めて以来、映画批評家として立つ。1996年、初めて監督・脚本を務めた映画「シベリア超特急」は若者を中心に熱狂的な人気を博す。

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2006年7月 6日 (木)
かたせ梨乃ちゃんの涙はすごい

 最近、あまり映画の仕事をしていないかたせ梨乃さんだが、TVで見ると、女優としてますます充実してきたのが良くわかる。

Hard_days_night 日本映画界がダメなところは、若年層ばかり気にして若い人向きのホラーやベッドシーン、人殺しの映画に夢中になることだ。こんな映画見て何のプラスになるのか。血をどぼどぼ出せばいいってものじゃない。そうした風潮の中でろくに演技もできない子供ばかりを主役にまつりあげてよしとする。
 だから女優として充実し、これから大きな仕事のできるであろう人たちが、映画に出るチャンスが少なくなり、TVや舞台の方へ行ってしまう。
 かたせ梨乃さんが最近映画に出なくなったのもきっとそんな理由からだろう。

 『シベリア超特急1』で私が感心したのは彼女の演技に対する打ち込み方。
 一等書記官とのハンガリーでの別れのシーンで私は、抱き合う二人を360度キャメラを回転させて撮りたいというプランを練った。一種の長廻しである。これがお見事。キャメラテスト中心に1回の位置決めリハーサルをやり、後本番。何とその本番が1回でOKになったのだ。コシノジュンコの衣装を身にまとった彼女。キャメラが回りこんで彼女の表情が2度目に映ったとき涙がツーっと頬に流れた。
 これはお見事。
 並みの女優でこの涙、出せるわけはない。

 『2』でデビューを飾ったメイファンこと須藤温子もすごく勘のいい女優だったが、長門裕之に身をささげる直前、鏡にむかって涙を流すシーンなのだが、何度撮っても涙が出ない。結果うまくいったのだが、私も目薬で行こうと決心した程だった。
 温子ちゃんにとっては、この経験が素晴らしい女優になるためのステップになってくれたことと思うが、そう考えると、梨乃さんの涙はすごい。

 また、梨乃さんは英語ペラペラ。しかもきれいなアメリカ英語の発音である。
 映画のクライマックスのスカートが広がって倒れるシーンも1回OK。あらためて女優根性に脱帽した。

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