『シベリア超特急・完結編』の準備に取り掛かっている。今までも一作一作がオールスター・キャストで、大映画スタアがズラリと出演し、演技合戦を見せてきた。昨日、今日にポンと出てきて、演技の真似事をして人気が出た様な“タレント”を、私は絶対使わない。
これが演技だ、これが映画の演技だ、という醍醐味を皆様方に味わってもらいたいと思うのだ。
かつて日本映画界には本当に心を打つ大女優がキラ星の如くいたものである。
田中絹代、木暮実千代、高峰秀子、原節子、高杉早苗、水戸光子、月丘夢路。戦後には京マチ子、若尾文子、山本富士子、司葉子、岸惠子、角梨枝子、有馬稲子、岡田茉莉子、三田佳子、佐久間良子、岩下志麻、水谷八重子(良恵)、久我美子、江波杏子、左幸子、そして、乙羽信子、淡島千景、久慈あさみ、新珠三千代、高千穂ひづる、南風洋子、とまさに百花繚乱。一人一人がすばらしい作品に出演し、名監督に磨かれてきた。
私はそうした“本当の映画女優たち”がもっている演技の力を皆さんに見ていただきたいのだ。
だから私は必ず『シベリア超特急』シリーズで、大スタアをずらりと並べてきた。この方々は、ホラーや人殺し、ベッドシーンが中心になっている最近の日本映画に見切りをつけ、舞台へ活躍の場を移した大女優ばかりだ。喜ばしいことに、舞台経験は彼女たちのキャリアに更に磨きをかけるものとなっていた。
久しぶりに映画に私がひっぱり出すと、皆さん生き生きとそして縦横無尽に動き、実力を発揮してくださった。
『シベリア超特急3』の三田佳子さんの演技に、私は見ていて涙が流れた。
『シベリア超特急2』での淡島千景さんは、撮影現場に台本をお持ちにならなかった。
全部頭に入っていた。
『シベ超』を見ている業界の方々は多い。だから『シベ超』の後、彼女達が次々と映画に出演し、スクリーンに復帰なさった。私は嬉しい。
そう、『シベ超・完結篇』では凄いキャスティングを組みますよ。
どうぞご期待を。

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