プロフィール
水野晴郎
映画批評家、監督、脚本家、作家、作詞家、演技者、大学教授。1931年生まれ。39歳の時日本テレビの映画番組の解説者を務めて以来、映画批評家として立つ。1996年、初めて監督・脚本を務めた映画「シベリア超特急」は若者を中心に熱狂的な人気を博す。

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2006年1月26日 (木)
シベリア超特急 おもしろ話その6

 『シベリア超特急』がここまで人気を得、有名な映画になったのは様々な人々のバックアップのおかげだ。
 まず第1作が封切られた時、一般の評判はおよそひどいものだった。「ドンデン返しが2回もあるとは何ごとだ」「列車が動かないのはどういうことだ」「評論家水野晴郎の中身を疑う」「これはおバカ映画だ」
 ネットなどでボロクソに言われた。ひどい奴は勝手に映画から写真を使って、著作権など完全無視で悪口を言った。今にして思えば、本道とも言える映像を中心にした1950年代の映画の作り方にとまどいを感じたのであろう。
Photo_79  そんな四面楚歌の状況で、こんな言葉をお友達のみうらじゅんさんに語ってくれた方がいた。「面白いわよ。あなたごのみ」
 それはナンシー関さんであった。あの今は亡き名版画家であり、エッセイストとして有名な方である。
 早速みうらじゅんさんがご覧になって「これは久しぶりのスター映画だ。フェロモンがあふれている」とのお言葉をたまわり、マイブームとしてみうらじゅん賞を贈っていただいた。
 これは嬉しかった。
 以来、火がつき、関根勤さん、小堺一機さんも大きくラジオで取り上げてくださった。
 大槻ケンヂさんもファンになり、みんなが口を揃えて面白さを伝えてくださった。
 およそ売れなかったビデオも各社から再発売の申し出があり、燎原の火の如く話題は広がっていった。
 ありがたいことだ。
 それで第2作のスタートとなった。まだまだバカ映画と思っているマスコミも多かった。
 第1作を見ていなくて、けなせば流行におくれないと思っているバカ評論家もいた。
 所詮彼等は評論家ではなく評判家なのである。決して長続きはすまい。
 こうした人たち、ファンに支えられて第7作の完結編を遂に迎えることになった。

2006年1月19日 (木)
シベリア超特急おもしろ話 その5

Mizuno1113_3_1  嬉しくって小躍りしてしまった。
 映画監督たちが、わが『シベリア超特急』シリーズのファンであるという。
 例えば三池崇史。あの人殺しをバリバリやって血をドバドバ出すので有名な監督である。
 彼が「『シベリア超特急』シリーズを見ろよ」と役者たちに話を広げてくれているというのである。
 その話を聞き、早速『シベリア超特急』を見てくれたある役者は
 「その瞬間、世界観がかわりましたネ」
 と私に告白した。
 そう、人を殺し、血をドバっと出す映画ばかりに出演していた彼。正当な昔ながらの映画を大切にする映画に接して、あらためて映画の魅力を感じてもらえたのではないか。
 三谷幸喜も『シベ超』ファンで毎回見てくれているという。
  前回書いたNHKでの片岡愛之助の出演は、『シベリア超特急5』での活躍を見てのことだという。
 その三谷幸喜が、私の好きな長回しを映画『THE 有頂天ホテル』の中でやったそう。
 するとそのプランを聞いた役所広司が「ワンシーン、ワンカットなんて大変だ」とつぶやいたそうである。
 何を言ってるんだ。舞台経験もあるはずの役者がそんなことで音をあげてどうする。
 『シベリア超特急2』の時、全員登場の場面で10分間の長回しをやった。しかも一人一人の人物紹介を重ねたら、撮り終わった後、役者さんからこんな感想がでた。
「久しぶりに素晴らしい緊張感を味わいました」。
 『シベリア超特急3』の長回しでは、三田佳子のうまさに心をうばわれた。
 本番中、予定にない人物が突然現れ、派手な衣装で三田さんを抱擁したのだ。
 もうだめか。と思ったらさすが三田さん。さらりとドラマの演技の様に組み入れてしまったのだ。このカットが11分。
 『シベリア超特急5』では12分の長回し。私としては快心の出来。ところが役者さんにとっては一番ご苦労なさった様だ。何しろ広い駅から列車の中までである。
 だから、私はこの長回しまわしに耐えられない様な役者は絶対使えない。

2006年1月11日 (水)
シベリア超特急 おもしろ話その4

Mizuno111_1_3_1  お正月のTVを見ていたら、片岡愛之助がドラマの主役でNHKに出ていた。
 思わず拍手。
 なぜなら『シベリア超特急』シリーズに出演した若手やスターはどんどん売れていくからなのである。
 たとえば、『シベリア超特急3』の大塚ちひろ。今では映画や舞台、そしてTVドラマと引く手あまたである。
 早くも沢口靖子、斉藤由貴、といった東宝の先輩と並んで専属女優陣のトップを走っている。
 一昨年、主演女優賞を総ナメにした寺島しのぶも、わが『シベリア超特急2』で私がピックアップし、映画デビューしてもらったのである。もともと舞台で練られているので、私の選択は間違っていなかった。
 さて、片岡愛之助も『シベリア超特急5』が映画初出演。歌舞伎の好きな私は、しばしば舞台を見にいくが、その時、彼の体当たりの若々しい演技に注目していた。
 たまたま楽屋を訪問した時、出演の打診をした結果、OK。いとこである片岡進之介と二人を契約した。
Mizuno1112_2  この映画でやはり映画デビューをした西條三恵は、宝塚出身だけにそのチャーム、演技力で大変話題になったのだが、すぐに見初められ花柳流の御曹司とあっという間に結婚。
 運命というのは不思議なもので、この結婚によって彼女は愛之助、進之介の2人と親類関係になった。
 『シベリア超特急2』では、3人が映画デビューを果たしている。歌舞界の大物といわれる中村福助、若手歌舞伎の雄である尾上松也。そして、映画『なごり雪』では主演を果たした須藤温子。
 そして、大スターたちも“シベ超“以来、ぐんと仕事が増える。しばらく映画から離れていた三田佳子、宇津井健、淡島千景、草笛光子、かたせ梨乃、中野良子。
 彼、彼女たちのもっている良さが“シベ超”ではにじみ出すからであろう。嬉しい事だ。

2006年1月 1日 (日)
今年も「シベ超」から始まった!

Mizuno11_1_1 みなさん新年あけましておめでとうございます。

 昨日の大晦日、12月31日は待望の生芝居『シベリア超特急・忠臣蔵』がついに上演された。
 脚本も今回の為の書き下ろしの新作。面白くて大いに盛り上がりましたゾ。
 残念ながら見ることが出来なかった方にストーリーをご説明すると。

 『シベリア超特急・忠臣蔵』

 閣下が何者かに毒殺されてされてしまう。黒幕は? 直接手を下したものは?
 そこへ大本営に呼ばれていた佐伯大尉が遅れて駆けつける。
 閣下の遺言は何であったのか。
 同志の中の1人は閣下の大事を知らず、連隊裏で恋人と逢い引きをしていた。
 大事を知った彼は、もはや連隊に戻る事が出来ず、彼女の両親がいる山崎の里に逃げる。
 ところが、そこである事件がおこり、彼と父親は命を失うのである。
 彼女は島原へ身をしずめる事になる。
 何とそこには、佐伯大尉が夜な夜な現れて酒池肉林を繰り広げていた。
 本心なのか、スパイに対する警戒のためなのか。
 ここでの大見せ場は、佐伯大尉が島原で見せる大騒ぎ。
 何と一度も見せたことのない<入浴ショウ>である。
 これはキモを抜かれて皆さん口あんぐり。そして大爆笑。ところがこれがクライマックスへの伏線になるのである。
 
 さて、マイク・ミズノは閣下を演じるのは当然。加えてマイクは三役を演じた。
 あっとおどろく三役早代わりには、皆さん大変びっくりされておりましたゾ。
 
 今回の模様は、ゆくゆくは映像化する予定なので、楽しみにして欲しい。

 「シベリア超特急」は、いよいよ今年『FINAL~旅路~』の撮影予定。
本年も目が離せない。
今年もヨロシク。