プロフィール
みうらじゅん
1958年京都府生まれ。武蔵野美術大学在学中に漫画家デビュー。以来、漫画家、イラストレーター、作家、ミュージシャン、ラジオパーソナリティーなどで幅広く活躍中。近著に写真集『アイノカテゴリー』(ぴあ)、『青春の正体』(ベストセラーズ)などがある。

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2007年3月26日 (月)
第17回 犬

Mjdog_1  何匹、飼おうが他人につべこべ言われる筋合いはない。

 それでも“エサ代は随分かかるんじゃないのか?”とか、“いろんな種類ならいいが、同種の場合、一匹一匹よく区別がつくもんだ”とか、いらぬ心配をしてしまうが、やはり大きなお世話なのだ。

 名前だってどうするよ?
 一匹目を『イチロー』にしておけば、『ジロー』『サブロー』『シロー』『ゴロー』『ロクロー』『ナナロー』と、覚えやすい。
 それが『ジョン』などと1匹目を呼んでしまった場合、『ポール』『ジョージ』『リンゴ』と、続けてもせいぜい4匹まで。

 そんなことより、この犬シール、どこでもらえて、1匹につき1枚しかもらえないものなのか?
 シール地も青や赤、黄とさまざまだが、その分け方が知りたい。

 本当は、こんなに飼ってないんでしょ?
 押し売りとかドロボー対策として、こんなにズラーッと貼ってんでしょ。
 何枚までが本当なのよ?
 ま、これも聞く権利なんてオレにはないんだけどね。

2007年3月20日 (火)
第16回 USA

Mjusa_1

 例えば、“アップル”のことを
「アンナッポー」
と、正しく発音でもしようもんなら、クラス中(寝ている奴以外から)、
「何、おまえ、カッコつけとんねん!」
と、罵声を浴びせられたもんだ。
 今なら確実に「欧米か!」と、ツッ込まれるところだが、’70年代初頭、特にオレの通ってたヤンキー中学では、欧米の意味を知る者は少なかったと思う。
 だから、英語教師に教科書を読めと立たされた時、細心の注意を払って“アップル”は
「あん あっぷるー」
と、発音するのが正しいとされていた。

 クラス中の誰もが将来、アメリカなどに行くこともないし、ましてやアメリカ人などと会話する機会など絶対にないと信じてた。
 洋楽は遠い国の音楽、意味など分かるはずがない。たまにクラスに入ってくる情報は、ペニスのデカさ。ヤンキーが授業中、後ろの席から回してくる写真は頭がクラクラするぐらいの無修正モノだった。
“こんな奴らには勝てるわけがない”、今更思っても後の祭り。
 あれからロックを知って、洋学志向にはなったけど、一度もアメリカなんて行きたいなんて思わなかった。
 日本人の巨大コンプレックスの固まり、それがアメリカ(USA)だったからだ。

“WELCOME TO USA”
と、看板が立っていた。
 ここは大分県・宇佐市――。
 腰砕けなオヤジ・ギャグ。未だコンプレックスは解消されていない。