男気の権化・ブロンソンが亡くなって約2ヵ月後に「ブロン葬」は行われた。
喪主は俳優の田口トモロヲと、オレ。二人はブロンソンとこれっぽっちも血縁関係などないのに“遺族”と言い張って止まなかった。
オレたちは’95年、東芝EMIより『マンダム 男の世界/大脱走のテーマ』というCDをリリース、ブロンソンズと名乗った。当然、ジャケ写はテンガロン・ハットをかぶり、髭(付けヒゲ)、CMで有名になった「うーん、マンダム」ポーズを取った。
“オレ、穴を掘る
脇目も振らずに掘る
オレ、穴を出る
自由を求めて♪”
オレたちが勝手に歌詞を付けた『大脱走のテーマ』は、映画の中で地味に穴を掘り続けていたブロンソンへのオマージュであった。
オレとトモロヲさんは同い歳であり、中学時代に見た映画『さらば友よ』で、ブロンソン革命に衝撃を受けた。それは当時、世界一ハンサムとされていたアラン・ドロンと、世界一ブチャムクレと言われていたチャールズ・ブロンソンが夢の共演。しかも見終わった後、ブチャムクレの方が断然カッコよく思えた逆転の革命。それ以降、ブロンソン映画にハマリ20年後、出会うべくして下北沢の飲み屋でブロンソンズを結成した。
主な活動はしこたま酒を飲んで、熱くブロンソン談義をすることだったが、フルアルバム『スーパーマグナム』も発表し、ちょっとした文系男気ブームを世に送り込んだ。
“いつかはブロンソンの家の前に立とう”
オレたちの夢はこれで満足だった。だって、会っても喋ることないし……コワそーだし。
そんなこと言っているうちに男気の権化はお亡くなりになった。せめて遺族にできることは……
“そうだ! ブロン葬だ!!”
オレたちはその日、黒い喪服に身を包み、テンガロンと付けヒゲは忘れずに、ブロンソンの遺影を持って登場した。知り合いの坊さんにお経を上げてもらい、お焼香もした。
「いやぁー、実にいいお葬式だったね」
二人は満足したが、仏式でよかったのかは今もよくわからない。うーん、合掌――。
