プロフィール
みうらじゅん
1958年京都府生まれ。武蔵野美術大学在学中に漫画家デビュー。以来、漫画家、イラストレーター、作家、ミュージシャン、ラジオパーソナリティーなどで幅広く活躍中。近著に写真集『アイノカテゴリー』(ぴあ)、『青春の正体』(ベストセラーズ)などがある。

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2006年2月24日 (金)
第8回 ヒーロー?

 一時の気の迷いで買ってもらったもんは、その場では盛り上がるが翌日、全く興味の無いことに気付き、無駄をした自分と、無駄につき合わされたグッズに哀しみを覚える。
 要するに目鼻が付いているものには、信心もないのにどこかしら神が宿ってると思ってしまう日本人の土着心。それもドチャック!
Miuraomen  お祭りでよく見かけるプラスチックで出来たお面。木で組んだ棚に縦横ズラーッと、その時代、その時代のヒーローや人気キャラが並んでいる光景を目にしたことがあるだろう。
 大人になって分かったことだが、そのお面は大きく分けて二つに分類出来る。一つはそのヒーローやキャラクターの著作権をクリアしているもの。そしてもう一つはそうでないものだ。
 子供にそんな事情はどうでもいいが、大人はそれについてやたらうるさい。著作よりも著作権を愛していると言ってもいい。
 ま、そんなことはともあれ、その時代、その時代によってヒーローやキャラは違う。当然、テレビや映画化されているものは人気がある。
「最近はトンとヒーローも分からんよ」
「だって、あんたはウルトラセブン以降、知らないんでしょ」
と、ノスタルジーに浸るお祭りオヤジもいるが、子供は目敏い。

「アレ、ダレ?」
 
 そのキャラ軍団の中に二人、マンガにもアニメにも実写にもなっていない者がいる。
 オカメとヒョットコであーる。
 そんなことお構いなしに棚の上、しかも中央に堂々といるのであーる。
 祭りだからといって、もうその二人を渇望するガキはいない。うまく溶け込んでるつもりだろうが、いずれその土着は取り除かれるに違いない。

2006年2月 3日 (金)
第7回 お練り

 確実にコスプレである。
Photo_108  正式名称「練り供養」、仏面をかぶった老若男女が寺の境内に設置された橋の上を渡っていく年に一度の吉例行事である。
 中には仏面の目の部分が、わざとくり抜いていないものがあり、介添え人が脇で手を引き誘導するプレーも登場。見る者をハラハラさせる。当然、仏面に表情はなく仏頂面。シュールな光景が展開されるのである。

 コスプレのメッカはアキバよりも後楽園ゆうえんち。仮面ライダーショーに始まり、ゴレンジャーをルーツとする戦隊モノなど。
 しかし、それよりもずっと前、極楽戦隊オネリンジャーがあったことはあまり知られていない。
 彼らは西方浄土から雲に乗って飛来し、現世で正しい行いをした死者のみを迎えにくるヒーローだ。その姿を一切、特撮やCGを全然使うことなく再現するのが練り供養、通称・お練りというものなのである。

 どこからかやってきて、どこかに去ってゆく。これはヒーローに限らず、この世に生を受けたものの宿命だ。分かっちゃいるけど、それを考えると虚無感に襲われるのが人間。じゃ、生きてる内に予行演習して徐々に慣らしていこうというのが狙いなんだな。
 ボンノウと戦え! 極楽戦隊・オネリンジャー!!