“旅の恥はかき捨て”
そんな言葉があるように、オレは旅に向かう東京駅で「LEON」を購入してみた。
運悪く特大号らしくズッシリ重い。紙袋に入れてもらったのだが、いつ破れて飛び出るかハラハラしながら新幹線に乗り込んだ。
隣の席はいとうせいこう。
もう十年近く続けている各地の仏像を見て回る(見仏:けんぶつ)旅行の始まりだ。最近では京都・奈良の仏ゾーンを離れ、かなり渋めの地帯でパ・リーグのような仏像を見ている。
「今回はどんな“仏パ”を見るんだろうね」とか、車中で喋っていて思い出した。
すでに重さでビリビリになった紙袋から「LEON」を出して、「見ます?」と聞いたら、「一度見てみたかったけど、勇気がなくて」という返事。さっそく二人で一冊の「LEON」を開いてみた。
「もうどうやら“ちょいワルオヤジ”は古いらしいよ。今では“ちょいロク”なんだって」「ちょいロクって何よ?」「ちょいロクデナシ」「やっぱスゲーや、コレ!!」と、盛り上がっていると切符の点検が回ってきた。
長髪とオカッパのオヤジが一冊の「LEON」を仲良く見ている図はかなり痛かった。 寺回りをしている時もオレのカバンには「LEON」が入りっ放し。どこで捨てていいやら困ってしまった。
「いたタヌキの前はマズイだろう」
「いや、それも合わないよ」
そんなことを言い合って結局、東京に持ち帰ってしまった。
都会ならまだしも、土着(ドチャック)の激しい地方には「LEON」の置き場所なんてどこにもないことを学習した旅だった。






