さて、お待たせしました。いよいよエベレストへ出発です。
この原稿を書く私の脚も自然と正座になりました。
相当ここまでの道のりに時間が掛かってしまいました……。
よく晴れた空の下、ナムチェバザールを出発し、ゆっくりゆっくりと大きな石をまたぎながら上へ上へと登っていきます。
ただでさえ空気が少なく苦しいというのに、時々のんきに落ちている“ヤク”の糞を避け、その上私はこともあろうにデニムにコンバースのスニーカーという、山をなめきった格好であったがためにさらに苦しく、10分歩くと休憩するといった有り様。でも、本当に無理をすると高山病になるという恐ろしさがあるので、テレビだからといって無理はできません。(しかし一緒に行った女性スタッフは、紙袋を持ちながらの登山だったので、私以上になめきっていたといっても過言ではない!)
先を見ると気が遠くなるので、足下だけをしっかり見て進んで約2時間、一緒に歩いてくれているシェルパの人が突然「あれがエベレストだよ!!」と大きな山を指差して教えてくれました。
「えっ!!」と苦しさも忘れて前方を見ると、雪でちらほらと白くお化粧した格好の山々が目の前にどーんとそびえ立っています!
「え~!!」と嬉しさのあまり目を凝らすも、どれがエベレストだか判別付かず!
「え? どれどれ?」と聞くも「あれだよ!」と言われるだけで、見ている角度が違えば分かりにくいってことでなかなか見分けられず、なんだか悔しい気分。それでもようやく教えてもらって「もうすぐか~!」と喜ぶも、実際道のりはまだまだ長い……。
若干舗装された砂道を歩くも、右下には崖……。山はどのみち優しくありません。
テクテクと、登山を楽しむというよりは過酷なロードレースになって1時間ほどした頃、ようやく私達が目指していた“ホテル エベレストビュー”に到着しました。
ここはエベレストに一番近いホテルということだけではなく、その昔何もなかったところから日本人の方が建てた立派な庭にしっかりとしたホテル。感動です。
早速中に入ると、廊下の隅に消火器のような物が。よく見てみるとそれは“酸素吸入機”。空気の薄い場所に立っているということで消火器よりも必要なアイテムらしいです。
そして部屋に入ってカーテンを開けると、そこには大きな大きなエベレストが!!
ようやくここで間近に見ることができました!
凛と輝くようにそびえ立つエベレスト。ネパールまで、ここまできて良かった! と思う瞬間でした。
が、いざこの光景をカメラで写そうとした時、チラホラと……シンシンと……ザンザンと……雪が降ってきたのです。
それはもうあっという間に周りはグレー、気温はさらに下がり、「いや~、全然前が見えませんね~」な状態。「いやね、雪が降ってきちゃったんで撮れませんでした」と帰るわけには行かない私達はここでなんと4日間も過ごす事になったのです。
お風呂に入ろうにもお湯はバケツ1杯500円だか1000円し、その溜めたお水も実は雪解け水で大切な物……となればオチオチ入っているわけにもいられません。運良く(?)テレビ画面は匂いを伝えないということで4日間体を拭くにとどめて入る事をやめました! この潔さ、我ながら好きです。
しかしながら、することもないのでスタッフと雪合戦しようにもちょっと走ると息が切れ、お酒を飲んでもすぐに酔い、寝てみれば悪夢(酸素が少ないせいでハアハアしちゃうらしく、そのせいで悪夢を見ていた私)、1日が本当に長い。なのでエベレストが見えるまでの唯一の楽しみが、3度用意してもらえるお食事となりました。ここで頂いた牛丼は本当に美味しかったです!(食材が運ばれてくる過程をナムチェバザールで見てきたのもあって、有り難くもあり、噛み締めて頂きました!!)
そして4日目、ついに雪はやみ、澄んだ空気の中のエベレストと対面できたのです。物言わぬ山にして感動を与えるとは、なんという事でしょう!
余りにも有り難かったので、心の中でお願い事をしてしまったぐらい、とにかく素晴らしかったです。
エベレストには、なかなか来れないと思いながらも流れる風を受け、心底満喫をしたネパールの旅はここでおしまいという事になりました。
色んな事があったけど、私の中に残る大切な旅となっています。


